ボツリヌス療法(脳卒中の後遺症:手足のつっぱりの治療)
脳卒中の後遺症、頭部外傷、脊椎損傷などが原因で、運動障害の一つに痙縮(けいしゅく)という症状があります。痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくい、勝手に動いてしまう状態のことです。痙縮では、手指が握ったままとなり開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限され(これを拘縮(こうしゅく)といいます)、日常生活に支障が生じてしまいます。また、痙縮がリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮に対する治療が必要となります。
ボツリヌス療法とは、
ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。そのためボツリヌストキシンを注射すると、筋肉の緊張をやわらげることができます。ボツリヌス菌そのものを注射するのではないため、ボツリヌス菌に感染する危険性はありません。
ボツリヌス療法の治療スケジュールは?
ボツリヌス療法の効果は、注射後2~3日目からゆっくりあらわれます。通常3~4ヵ月間持続します。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、治療を続ける場合には、年に数回、注射を受けることになります。また、その期間にリハビリを実施することで動作の改善などの効果が期待されます。効果の持続期間には個人差があるので、医師と症状を相談しながら、治療計画を立てていきます。
ボツリヌス療法のを受けるためには?
ボツリヌス療法を希望される場合は、医師が患者さんの症状を判断した上で、ボツリヌス療法の適応や治療日を決定します。ボツリヌス療法を希望される方は事前にお問合せ、もしくは、診察にて医師にご相談ください。