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看取り(その1)

[2015.08.29]

このところ体調を崩していた在宅患者さんが8月某日(土曜日)亡くなられた……
日中に訪問看護師から「目がうつろで、痰がからむので吸引しました……」との報告あり。
「状態が不安定で心配だ」 という気持ちが伝わってきた。
私のその日のスケジュールとして、夕刻には既に2件の訪問診療が予定されており、その後は家族との食事の約束もあったが、ここはとにかく往診して、状態をみて判断するしかない。
(普段密接に患者さんと関わっている看護師や療法士が感じる印象は当たっていることが多い)
主担当のDr.Hが点滴の指示を既に出していたため、外来診療の合間に電話でDr.Hと方針を相談した。
夕刻に往診すると、娘さんが痰の吸引をしていたが、なかなか引ききれない。
酸素飽和度も81-89%と低下している。日中までは90%半ばはあったという。
本人の意識は割合はっきりしており、簡単な会話は成立する。
なかなか決断が厳しい状態である。
2年以上に渡り訪問診療・訪問看護・リハビリで関わってきて合併症入院も数度ある患者さんであり、
ご家族も熱心だが、在宅で看取るか入院し起死回生を図るかで揺れ動いていた。
結局、抗生剤静注し、持続点滴による補液を行って明朝までは見守り、
その時の状態で入院するかどうかを決めるということになった。
経過や症状からみて急変は常にあり得るということをご家族に伝えてはあったが、
明朝までは大丈夫なのではという漠然とした感触をその時点では持っていた。
…………
他患者の訪問診療、家族との食事を終え、日曜に遊びにくる孫達のため自宅屋上でビニールプールの支度をしていたら
ご家族から電話がかかってきた。
急変である。
直ちに自転車でお宅へ向かう。
救急車も要請したとのことで、到着したときには救急隊員が心マッサージを行っていた。
心電図は電気活動なし
もう余力はなかったのだろう。
医師として患者さんに出来る最後のこと、すなわち死亡診断をし、
訪問看護師とDr.Hに連絡をとった。
夜中だが、看護師二人が駆けつけてくれた。
Dr.Hには「この先は私に任せてくれ」と伝えた。
(2週間程前には私が主担当の患者さんがやはり急変した。
その看取りはDr.Hがしてくれた。
一人で全てに対応することは不可能だ。
信頼感で結ばれたチームで対応するのが次善の対応だろう。)
ご家族に経過を説明した。
妻、子供達家族、孫達それぞれの思いが吹き出てくる。
はたして私は納得いただけるような説明ができたのだろうか?
そして、死亡診断書を書くためにクリニックまで自転車を走らせる。
IMG_3750.png
診断書をお届けし、お線香をあげて患者さんにお別れをし、ご家族に礼をして、私の医師としての仕事は終わった。

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